ご挨拶
花園会員・有縁の皆様には、益々ご清祥のことと拝察申し上げます。平素は当山に対しご厚情賜り誠に有り難うございます。
静かに令和二年の新春を迎えたかと思えば、この度の新型コロナウイルス感染症により日本国内も大変なことになってしまいました。
緊急事態宣言は解除されましたが、大切な人々の生命が脅かされ、心は苦悩と閉塞感に溢れています。
当山では春の彼岸会・法話会・お花まつり法要などを中止し、役員総会は書面にて執り行い、維持費・墓地管理費なども延期してお願いしています。
『碧巌録』という禅の書物に「明暗双双」という言葉があります。「明」は差別・現象、「暗」は平等・本体の世界であり、この二つの世界は表裏一体・相即不離であるという教えです。「明暗」として考えるのなら、「明」は仏・お悟り・福、「暗」は衆生・迷い苦しみ・禍とした方が分かりやすいかもしれません。
私は本年一月に「感染性腸炎」という病気になり、急に倒れてしまいました。体外からウイルスが入り、腸をおかしくしてしまったのです。その日は体調も良く元気であったのですが、潜伏期間があるため急に症状が出たのです。今回のコロナにもいつ誰がかかってしまうか分かりません。
まさにいま私たちは暗中にいますが、暗中にも光は差しているのです。この状況下で「偏見や差別・われ先に・自分だけは」という気持ちを無くして、今すべきことを実践し、光を見る眼を養っていくことが大切だと思います。暗中にいればこそ、暗を知ればこそ、光の有り難さ・幸せを感じることができるのです。
大勢の方々が慈悲の心をもって助け合いの生活をして、明るい光のもと心穏やかに仏事・法要にご参拝いただける日が早くくることを祈念致しております。
皆様どうぞお気をつけてお過ごし下さい。
令和2年6月1日
久保寺 住職 須藤 翠巖